amsとSenovaが、新型コロナウイルス感染症の診療現場における即時抗体検査の実現に向け技術協力

  • 新たな実験により、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する高精度なデジタル抗体検査が実現可能であることを証明

  • amsの AS7341Lスペクトルセンサにより、ラテラルフロー免疫アッセイのスペクトル解析された読み出しが可能に

  • この検査プラットフォームの定量検証は、数十pg/mlという低濃度までC反応性タンパク(CRP)検査により実施。ほとんどの標準的な即時検査読み出しデバイスと比較して10倍の検知精度を実現

  • 診療所などの診療現場(ポイントオブケア)において、低コストで使用可能な検査プラットフォーム

  • ユーザーの判断を必要としない客観的な結果をBluetooth経由でスマートフォンのアプリへ送信

 

高性能センサソリューションをグローバルに提供する大手サプライヤーのamsの日本法人amsジャパン株式会社(本社:東京都港区、カントリーマネージャー:岩本桂一)と、ドイツを拠点とする体外診断用医療機器メーカーのSenovaは本日、Senovaの技術とamsのスペクトルセンサ技術を統合し、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に関連する抗体検出のためのラテラルフローベース検査の精度、および使いやすさの向上に成功したことを発表しました。amsのAS7341Lスペクトルセンサソリューションをベースに開発された専用センサモジュールが、ラテラルフロー免疫アッセイのスペクトル解析された読み出しを可能にします。

amsのスペクトルセンサ技術は、Senovaが提供する商用の血清IgG/M Covid-19アッセイ(Cleartest®)とともに、成功裏に検証されました。このアッセイは、感染症後期における確認診断や大規模な抗体スクリーニングに使用されます。

これを受けてamsとSenovaは、amsの読み出し技術とSenovaのラテラルフロー検査技術を統合させるための提携を進めます。両社は、抗体検出の結果に基づいた新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の免疫検査のための、使い捨ての電子ラテラルフロー検査の実現に向けて協力することに合意しました。

ラテラルフロー技術とスペクトルセンサを組み合わせたこのデバイスは、費用対効果が高く正確で、定量的な読み出しを可能にし、ユーザーによる判定を必要としない客観的な結果を提供します。従来のPCR法とは異なり、この検査キットは診療所などの診療現場(ポイントオブケア)で低コストで使用できます。

また最近の実験により、C反応性タンパク(CRP)などの血清タンパクを、数十pg/ml(ピコグラム/ミリリットル)という低濃度まで定量的に検出できることが証明されています。これは、ほとんどの標準的な即時検査読み出しデバイスの検出結果よりも10倍以上高い精度です。これは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原アッセイと組み合わせることで、感染症の初期段階における唾液や鼻腔粘膜スワブの検体を用いて新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を検出するための検査プラットフォームを提供するもので、次の段階での開発が予定されています。

短期間で量産規模へ拡張するために、amsは大手のヘルスケア製造ソリューションプロバイダーのJabil Healthcareと提携し、Bluetooth接続可能な大容量ターンキーモジュールへのamsのセンサ技術の統合を進めます。

3社は、高精度で使い捨て可能、かつ低コストのデバイスを市場に提供することにより、政府機関、医療機関、その他の診療施設が、需要が高まっている診療現場での抗体検査を行うことを可能にし、時間のかかる遠隔試験所への抗体試験紙の送付の必要性をなくすことを目指しています。このデバイスは、低価格であり、スマートフォンアプリやクラウドアップロードへの簡単な接続が可能なため、未加工のスペクトラルデータをローカルのBluetooth対応デバイス(スマートフォンなど)に送信し、読み出しできます。さらにこのデータをクラウドへ送信して評価することも可能です。結果はBluetoothデバイスへ返信され、ユーザーが希望すれば、国内の、あるいは国際的なモニタリングシステムに広範囲な検査結果情報が提供されます。機密性の高いユーザー情報は、データの暗号化やプライバシーポリシーなどの適切な対策により保護されます。

ams、Senova、Jabilの3社は、2020年9月までにCE認証を受けた使い捨ての業務用検査キットの生産を拡大する予定です。また、amsは家庭での利用向けに認証されたデバイスの提供も目指しています。

amsの高度光学センサ部門のエグゼクティブ・バイスプレジデントである、ジェニファー・ツァオ(Jennifer Zhao)は次のように述べています。「小型で費用対効果の高いamsのスペクトルセンサ技術によるイノベーションは、これまで以上にヘルスケアの分野における価値が高まっています。非常に小型ながら強力な光学センサによって比色および蛍光情報を検出できる即時検査デバイスが実現されることで、使い捨て可能な価格帯で広範囲にわたるウイルスや抗体の検査が可能になります。この技術を基に、当社は世界中で猛威をふるうパンデミックとの戦いに貢献できることを期待しています」

SenovaのCEOである、Hans Hermann Söffing氏は次のように述べています。「この共同プロジェクトは、精度の大幅な向上と使いやすさを組み合わせた新世代のポイントオブケア検査を提供する、またとない機会と言えます。この新型コロナウイルスのデジタル抗体検査キットは、現状に対応している世界中の医療機関を支えるうえで重要な要素となるでしょう」

Jabil Healthcareの診断部門バイスプレジデントである、David Panneton氏は次のように述べています。「デジタル化された使い捨てのラテラルフローベース検査ソリューションの開発と量産において、amsとSenovaをサポートできることを光栄に思います。ヨーロッパにある当社の設計開発チームは限られた期間のなかで最高水準のイノベーションを実現しています。世界的な展開、規制に対する厳格さ、診断業界向けの電子部品やサブアセンブリの製造における豊富な実績を誇りる当社は、世界的な需要に対する供給を目指すamsとSenova、そしてこの検査プラットフォームにアクセスする両社のパートナー企業をサポートします」

amsのAS7341Lスペクトルセンサの詳細情報は、ams.comをご参照ください。