最新の光学センシング技術が新たなロボット設計の将来を切り開く

高度な3Dセンシングソリューション、マルチチャンネルのスペクトルセンサとプロジェクションライティングのシステムを通じて、ロボットが周囲環境を「見る」ことができ、ライトを使用して人間とやりとりします。

この刺激的なロボットの新しい利用法のおかげで、人間とのやりとりが深まっており、周囲環境を細かく把握する能力が必要になります。今回、ams OSRAMが提供する高度な光学技術のポートフォリオが次世代のロボットへ実装されており、ロボットが周囲環境を見て動き回り、付近の物体を検出して、インジケーター信号を発して人々と安全にやりとりできるようにしています。

 

ロボット周辺の環境をマッピング
ロボットが完全に自律的に機能するには、物体検出とマッピングが不可欠な機能です。ロボットが正確かつ精密に環境を認識できるほど、人間と共有する空間でより素早く、効果的に動き回れます。


高度なロボット設計は3Dセンシングによる「深度マップ」の作成に依存します。これは視野内にある物体の大きさと形状、およびセンサからの距離を正確に再現します。効果的な3Dセンシングは通常、赤外線エミッタ(IR LEDまたはレーザー)と高解像度のIRセンサを使用して、ステレオまたはストラクチャードライトに基づくビジョンソリューションを提供します。Miraシリーズの画像センサは、可視光とIR波長を敏感にとらえるため、ロボティクスアプリケーションで特に役に立ちます。例えば、Mira220は、可視スペクトルおよび近赤外線スペクトルで高い量子効率を実現する近赤外線グローバルシャッター画像センサです。社内試験では、量子効率が940nmで最大38%を記録しています。こちらの動画で、Miraシリーズが詳しく解説されています。
 



Mira画像センサは3Dセンシング(940nmのIRエミッタと組み合わせた場合)とビデオ画像出力の両方に使用でき、物体認識やその他の人工知能(AI)機能を実現できます。市街でごみを収集するサービスロボットなど、画像処理ロボットの新たなユースケースが常に生まれています。画像センシングとAIを組み合わせることで、ロボットが廃棄物を正確に検出して回収できます。
 

ams OSRAM industrial robotics solutions

3Dセンシングシステムへエミッタと画像センサを統合する作業は、参照設計キットを使用すれば簡単になります。Tekniqueが提供するOclea 3DビジョンSDKは特に便利です。対象のロボットシステムへ直接統合できる、プラグアンドプレイの開発プラットフォームが提供されます。

ロボットアプリケーションのユースケースで3Dスキャンの精度がそれほど重要でなく、簡単なアルゴリズムに基づいた障害物検出で十分な場合は、マルチゾーンのダイレクト タイムオブフライトセンサが適切なセンシングソリューションになるでしょう。TMF882Xセンサは、幅広い視野を持つスキャンアレイと簡単に組み合わせられ、極限まで消費電力を抑えた設計が必要な場合は、システムのウェイクアップ用に画像ベースの3Dスキャンソリューションと組み合わせることすら可能です。
 

素材を特定するための高度なセンサ

ロボットが周囲環境を認識する能力を制限する要素は、ナビゲーションと障害物回避だけではありません。例えば床掃除用のロボットでは、AS7343などのスペクトルセンシングICが床の素材を検出でき、羊毛、ポリエステル、木材、セラミックを区別できます。素材の区別以外にも、床の種類に応じて清掃作業を自動的に最適化するために、ams OSRAMのスペクトルセンサは正確な測定も行えます。
スペクトルセンサが行うスペクトル測定は、複雑なアルゴリズムを搭載する目視カメラよりも正確に床の素材を特定でき、かつ実装もより簡単に行えます。センサシステムは機械学習に基づくアルゴリズムのみに頼って、メモリに保存された参照サンプルと、取得したスペクトルのパターンを一致させます。

 

人間とやりとりするためのライト信号

光学技術を使用して、周囲へ通知し、またロボットの周辺をセンシングできます。

新型の光投影技術は、ロボットが意図を伝える理想的な方法となります。自動車産業で、ams OSRAMはマイクロレンズアレイを通じたプロジェクションライティングの実装を先駆けて開発し、例えば自動車のドアミラー下方から路上へ右左折の信号を投影できるようにしています。

プロジェクションライティングの実装を先駆けて開発し、例えば自動車のドアミラー下方から路上へ右左折の信号を投影できるようにしています。

ロボットでは、以下の図に示すように、マイクロレンズアレイが右折や左折などの記号を投影したり、ロボット周囲の点滅リングが安全区域の範囲を示したりできます。ライトを通じて情報と意図を伝えることで、耳障りな警告音を発したり、ロボットや人間の動きを遅らせることなく、ロボットは人間へより直感的に離れるようガイドしたり、人間の周りをスムーズに動き回れます。
 

高度な光学技術がロボティクスへ新たな付加価値を提供

ロボティクスでのイノベーションは、市場へ刺激的な新しいユースケースを提供しています。その多くで、ロボットは置かれた環境にて人間や物体と即時に、かつ自律的にやりとりしなければなりません。センシングとイルミネーションに関するams OSRAMの高度な光学技術が、こうした次世代のロボットを開発するための基盤となります。