寒い雨の降る夜、自動車はウェルカムライトカーペットで合図しドライバーを迎えます。そして、それを可能にするのは先進的なLEDとマイクロレンズアレイの技術です。

自動車のドライバーは五感の領域に生きています。レザーシートの豊かな香り、エンジンのうなり、加速時に背中に感じる力強さ。こうした感覚は、オーナーと車を直感的に結びつけてくれます。

また、車を見たときの印象も強力な効果があります。自動車メーカーが車の個性を形状で表現する自由度は、安全規制や空気力学的効率の要件から制約を受けており、自動車メーカーは車の個性を示す手段として、ヘッドライトのデザインやウインカーのパターンなどの新しい光学的シグナルを見つけ出しています。 

そして今、プロジェクションライティングは、ドライバー・乗客と車との関係をブランディングするために使用される、最新の光学エフェクトとなっています。ウィングミラーやドアシルなどに埋め込まれたLEDとマイクロレンズの小さな集合体は、道路や舗道に光のパターンを投影し、ワイヤレスキーフォブが範囲内に来ると、車がドライバーを迎える「ウェルカムライトカーペット」といった効果を生み出します。

ams OSRAMが開発したプロジェクションライティングは特殊なオプトエレクトロニクス技術です。そして現在、同社は次世代に向けたこの技術を開発しており、静的なライトプロジェクションから半動的なライトプロジェクションへと、自動車メーカーに新しい創造の可能性を開いています。その目的は、雨の降る寒い夜に家から遠く離れた場所で、舗道を照らすウェルカムライトを目にしたとき、ドライバーの心を軽くさせることです。

プロジェクションライティングシステム:精密部品の複雑な集合体

ams OSRAMによる光学技術のイノベーションが、新しい車のデザインにおけるプロジェクションライティングシステムの魅力を支えています。この技術は、次の2つを同時に実現することに成功しています。

- 超小型化により、ウィングミラーの裏側やドアシルの下など、使用されていないスペースにプロジェクションシステム全体を簡単に設置することが可能になりました。

- そして、パターンやシンボル、ロゴなどのグラフィックアーチファクトを鮮明に表現することで、魅力的な外観を実現しました。

これらの小さなプロジェクションライティングシステムは、以下に示すような「マイクロレンズアレイ」と呼ばれるレンズアセンブリで構成されており、LEDエミッタからの光がコリメータを介して投影され、LEDの光出力をレンズアセンブリ上に集中させます。

 

 

 

注目すべきは、コンマ数ミリ単位のレンズの特徴を個別に造形できることです。これにより、このアレイを通して投影される光は、舗道や車道などのグラフィックが表示される面である「イメージプレーン」上に楕円を形成し、用途に応じて必要なパターンを作り出すことができるのです。

これまで、この技術はイメージプレーン上に静止画を投影することしかできませんでした。ams OSRAMによる最新のイノベーションにより、半動的なプロジェクションライティングが可能になりました。ここでは、セグメント化されたマイクロレンズアレイが、光学セパレータで分割された4つのコリメータと、個別操作が可能な4つのLED光源と組み合わされて動作します。

 

超微細なレンズ製造

この技術が自動車などの大量生産されるコンシューマ製品に使用できるのは、ams OSRAMのオプトエレクトロニクス製造技術と専門知識の賜物です。マイクロレンズ部品は、半導体産業で一般的な技術と装置を使用して、ウェハレベル光学部品として生産されます。

ウェハレベル光学部品で実現できる精度と小型化は驚異的なもので、光学部品間のアライメントは±5μm、光学部品と機械部品のアライメントは±30μmとなっています。この高精度製造プロセスにより、指定されたレンズ形状を非常に忠実に再現し、鮮明で焦点の合った投影画像を実現することができます。

 

光でクルマをブランディング

ハイパワーLEDの登場以来、ウィンカーランプのアニメーション化、デイライトのユニークなアウトラインなど、自動車メーカーによる自動車照明のブランディングや特徴付けが試みられています。

しかし、ほとんどの場合、「照明」という機能はこれまでと同じです。ams OSRAMのプロジェクションライティングにより、自動車メーカーは、照明に加えてコミュニケーションとエンゲージメントを実現する車載用照明システムを構築することができます。新しい半動的プロジェクションライティング技術により、自動車は車内または車外を問わず、光でユーザーに「語りかける」ことが可能になりました。例えば、近接センサのようなその他の機能と組み合わせることで、ドライバーの存在をプロジェクションライティングで確認し、ドライバーが車に近づいたとき車の光で「あいさつ」することができます。車内では、ルーフライニングや足元にプロジェクタを埋め込むことで、ドライバーや同乗者の利便性や快適性を強化するだけでなく、車のブランドにふさわしい光の雰囲気を演出することができます。

新しい車のデザインにプロジェクションライティング技術を導入することで、自動車メーカーは、写真の例のように、車の照明の安全性、利便性、外観、個性、機能性を向上させることができる、これまでにない可能性を手にすることができます。

また、プロジェクションライティングは安全面でも重要な用途があります。ウィングミラーやウィンカー、リアランプから道路に投影されるシグナルは、歩行者や自転車、その他の道路利用者にドライバーの意図をより視認しやすくすることができます。

 

ams OSRAMの完全な光学システムソリューション

プロジェクションライティング技術は、ウェハレベル光学部品技術と先進的なLEDエミッタを組み合わせたもので、これはams OSRAMが専門技術の中核としている分野です。自動車市場などのお客様と連携して、プロジェクションライティングのスペシャリストがエミッタとレンズアセンブリの組み合わせを最適化することで高画質を実現し、新しい車のデザインに容易に組み込むことができる高価値のソリューションを提供します。

この光学技術のアプリケーションは、すべての人の生活をより良くする、先鋭的な新しいアプリケーションをイメージすることで、ams OSRAMが世界に与える影響を示すもう1つの例です。

 

プロジェクションライティングアプリケーションの詳細については、 バーチャルショールームでデモビデオをご覧ください。