スマートウォッチで心拍数を測定したり、睡眠を監視したりしている人は、数百万人も存在しています。現在、革新的な光学センサソリューションの性能がさらに向上したおかげで、医療上の意味がある健康状態のモニタリングが可能になりました。これにより、潜在的な健康問題を早期に、あるいは発生する前に検出することができます。

新世代のセンサとアルゴリズムを組み合わせることで、デバイスメーカーは健康モニタリングをまったく新しい段階に進化させました。スマートウォッチは近い将来、皮膚を通して脈拍を測定するだけでなく、血圧や心拍数、体温、血中酸素飽和度など、多くのバイタルサインを測定できるようになるでしょう。究極の目標は、ウェアラブルを利用して、発生した症状をより迅速に特定し、人々が病気になってから対応するのではなく、予防することです。

これから、ウェアラブルの新たな可能性が大きく飛躍することが見込まれます。Global Industry Analysts社の市場調査員による調査1では、モバイル医療機器の売上が2021年の181億ドルから2026年の389億ドルに成長すると予想されています。ams OSRAM は、規模を問わずこの分野に参入する企業を多く支援し、新しいデジタルヘルスアプリケーションに対応できるようサポートしています。光の生成と検出、小型センサ信号のアナログおよびデジタル処理に関する当社のノウハウを活かし、精度の度合いを常に向上させることができます。ams OSRAMは、革新的な発光および光学センサ技術の幅広いポートフォリオを提供し、これら光学システムの完全な製品群を生み出すことで、個々のコンポーネントの完全な適合を実現できるように努めています。

ウェアラブル、貼付型パッチ、特殊なアクセサリーの機能性は、デジタル化と結合されることで、健康分野を根本的に変えつつあります。それとともに、すべての人にとってヘルスケアがより身近なものになります。例えば、患者は自分の血糖値が異常になっていないか、食生活を変える必要があるかどうかを、より早く認識できるようになります。心疾患に罹っている患者も、日常生活の中でより簡単に治療効果を観測できるようになります。臨界値に到達しそうであれば、インテリジェントなアルゴリズムが注意を発し、数百万のデータセットをもとに、感染症が起こる前に病原体の発生を検知することも可能です。何百万人もの人々が深刻な病気から守られると思われます。また、医療システムは数十億の経費を節約し、すべての人の健康寿命を延ばすことができます。

高精度の小型センサが鍵

次世代ウェアラブル向けの新しいセンサの開発に直面している課題は小さくありません。歩数計や睡眠トラッカーは健康維持のための製品と分類されていましたが、今は本当の診断を行える製品が求められるため、デバイスは医療用ウェアラブルの分野に入ります。そういったデバイスは精密でなければならず、かつ医療機器としての要件を満たし、関連当局から適切な承認を得る必要があります。

デバイスメーカーは、例えばスマートウォッチやリングなど、単一のデバイスで人体に関して可能な限り多くの情報を導き出したいと考えているかもしれません。バイタルサインを測定するには、複数のテクノロジーが必要です。心電図や皮膚伝導が電気信号に基づいているのに対し、心拍変動や血中酸素濃度は特定の波長の光を使用して測定されます。緑色の光で皮膚に照射すると、それは散乱して、一部が血液により吸収されます。放射された光の一部は散乱してフォトダイオードに戻り、複雑な集積回路で検出されます。心拍数に応じて血液量が変化するため、光の吸収量とフォトダイオードの信号は心拍数によって変調されます。この原理は、光電式容積脈波記録法、略してPPGと呼ばれます。


 

また、ヘモグロビンの吸収は、酸素が結合しているか否かで変化します。赤色光と赤外光に対するPPG信号を測定することで、光信号から血中酸素濃度を導出することができます。

 

また、ヘモグロビンの吸収は、酸素が結合しているか否かで変化します。赤色光と赤外光に対するPPG信号を測定することで、光信号から血中酸素濃度を導出することができます。

 

そして開発者は、このデータから学べることがまだたくさんあると確信しています。PPG信号をうまく解析すれば、血圧を導き出すことも可能です。現在では、脳卒中や心臓発作を引き起こす可能性のある高血圧はほとんど監視されておらず、しかも不正確な結果ばかりです。自分でカフを装着する必要があることに、多くの患者は不快を感じ、また、測定中に興奮状態になると数値が変化してしまいます。一方、スマートウォッチに搭載された光学センサは、患者に気づかれずに、24時間計測することが可能です。

ams OSRAMは、LEDと光センサ技術が、より健康的な生活の実現に不可欠な構成要素になると考えています。当社のチームは、ユーザーがPPG、PTT、血圧、SpO2などの生体信号を検出できるように信号品質を高めるため、より高効率のLED、より高感度のフォトダイオード、高性能のAFE(アナログフロントエンド)の研究に取り組んでいます。また、ウェアラブルデバイスのバッテリー寿命が短くなりすぎることを回避し、より頻繁に測定できるように、デバイスの消費電力をより少なくする必要があります。次世代バイタルサイン監視向けの初の集積型光学センサモジュールを紹介する当社のビデオをご覧ください。

 

ams OSRAMによる発光素子、検出器、小型光学ソリューションの最新のポートフォリオについては、こちらで詳細をご覧いただけます。

発光素子、検出器、最先端フロントエンドソリューション

高性能、低消費電力の光学モジュールとサポートアルゴリズム

 

小さなものが大きく発展

光は、皮膚、そして特定の分子とさまざまな形で相互作用します。このことから、血液分析の代わりに、非侵襲的かつ非常に便利な方式で、有意義なパラメーターを測定する選択肢がいくつかあります。これまで実験室や医療機関のみが提供していたサービスを、モバイルで費用対効果が高く、使いやすいソリューションとして提供するためには、いくつかの技術的な課題を克服する必要があります。ams OSRAMの開発者たちは、そのようなソリューションの開発に注力しています。


ams OSRAMのビジョンは、破壊的イノベーションへ大胆に投資し、最高の利益率と成長率を達成して継続的に変革することで、ポイントオブケア診断、バイタルサイン監視、温度監視などを含む、光学ソリューションの揺るぎないリーダーを創造することです。当社の医療・健康ソリューションの詳細についてご覧ください。

 

1  Global Industry Analyst社、「New Study from Strategy Highlights a $38.9 Billion Global Market for Wearable Medical Devices by 2026(Strategyの新しい調査で、2026年までに389億ドルに達するウェアラブル医療機器の世界市場が浮き彫りに)」 (PR Newswire)