amsが高速モーター向けに初のインダクティブポジションセンサを発表、自動車の電子化を推進

高性能センサソリューションをグローバルに提供する大手サプライヤーのamsの日本法人amsジャパン株式会社(本社:東京都港区、カントリーマネージャー:岩本桂一)は本日、自動車用および産業用の高速電気モーターに向けた初のインダクティブポジションセンサを、一般市場向け標準製品として発表しました。

AS5715Rに基づく新型のローターポジションセンシングソリューションは、高速のモーターアプリケーションで広く用いられているレゾルバと同等の精度と応答性を実現しつつ、部品のコスト、サイズ、重量を大幅に低減できます。また重要な点として、ISO 26262機能安全性規格への準拠が挙げられます。これはIC がASIL-C実装に基づいていることと、冗長性を持たせた実装がASIL-D に対応していることにより実現しています。

amsによるインダクティブポジションセンサの半導体技術の市販化は、パワーステアリングなどの自動車システム、また電気自動車やハイブリッド自動車のトラクションシステムなどにおける、重要な進歩を表しています。AS5715Rインダクティブセンサは詳細な設定が可能であり、軸上(シャフトエンド)と軸外(貫通シャフトまたはシャフト側面)両方の トポロジーで使用でき、さらに多数の多極対モーターとの使用が可能です。

amsのオートモーティブソリューション部門担当エグゼクティブバイスプレジデント、Chris Feigeは次のように述べています。「今回AS5715Rを発表したことで、amsはより環境に優しく、安全、スマート、快適な未来の自動車へ技術を提供するという使命において、新たな一歩を大きく踏み出しました。AS5715Rを使用して組み立てられたモーターはより軽量化され、より滑らかで強力な出力をもたらします。これに加えてコストも低減されており、自動車メーカーは高価でかさばるレゾルバをAS5715R誘導式センサに置き換えることができます」

モーター市場をけん引
AS5715Rが性能、サイズ、コスト面でブレークスルーを実現したことで、成長の著しい自動車市場は大きく影響を受けるでしょう。電気モーター(トラクションモーターを含む)の市場全体は、金額ベースで8.3%の年平均成長率(CAGR)が予想されており、2021年には346億ドルに達すると推定されています[1]。 一方、自動車向け電気モーターの市場も変化を遂げており、多くの高速アプリケーションで永久磁石型同期モーター(PMSM)がブラシレスDCモーターにとって代わっています。

同時に、環境危機に対処するため自動車業界はすべての自動車の平均燃費を向上させるよう、世界中で最新の政府規制により要求されています。旧来の電気機械式および油圧式自動車システムを高効率の電子制御モーターで置き換えることにより、自動車メーカーはより迅速に燃費目標を達成できるようになります。

AS5715Rが実現する高精度かつ低遅延の位置検出は、電気モーター制御システムの動作を支え、高速モーターのトルクを最大化し、トルクリップルを低減し、高効率の達成を可能にします。AS5715R ICと、それに関連するシンプルで低コストなPCBに印刷されたコイルを実装した位置センサシステムは、4極対のPMSMなどの様々な種類のモーターで、最大100,000rpmの回転速度で最高±0.3°の精度を実現します。

手軽に利用可能な測定出力
これまでレゾルバを扱ってきた開発者であれば、AS5715Rの操作モードにも慣れ親しむことができます。2組の差動アナログ出力がサイン波とコサイン波として出力されます。ホストコントローラーでアークタンジェント関数を適用することで、これらを角度測定へ変換することができます。

amsは、スタティックなセンサPCBでのTxとRxコイル、およびローターへ取り付けられた回転ターゲットアセンブリの設計法を示した包括的なドキュメントガイドおよびアプリケーションガイドを揃えています。

さらにAS5715Rは、自動車メーカーのISO 26262機能安全性規格への適合プログラムをもサポートしています。2個のAS5715R ICをセンサ基板に実装することで、完全な冗長性を持った測定システムを構築できます。

AS5715Rは既にサンプル注文に応じており、ご要望に応じてAS5715R誘導式位置センサの評価キットを提供いたします。サンプルの請求や詳細な技術情報については、https://ams.com/as5715rをご覧ください。

[1] IHS Electric motors in automotive applications – 2017(自動車用途における電気モーター – 2017年)