単純な移動手段としての自動車は、もはや過去のものとなりつつあります。代わりに、未来の自動車は生活空間の延長線上に存在し、赤外線アプリケーションが注目を集めています。

ラウンジ感覚の車内。ムード照明から自動車とのやり取りまで、車内での快適さ、居心地の良さ、安全性はますます高まっています。


スマートにドアを開く

スマートフォンやタブレットの世界で有名になったアプリケーションのおかげで、将来的には、ドアを自動に開くことが実際にできるようになるでしょう。生体認証により、数メートル離れていても、自動車の3D顔認識システムがドライバーの接近を認識し、トランクを開けたり、運転席のドアを開けるといったことが可能です。
ユーザーを認識すると、希望のシート位置や好みの照明色、好きなアーティストの音楽の自動再生など、さまざまなパーソナライズされた設定ができます。

ams OSRAMのOslon Black IREDは、非常にコンパクトなシステム設計を可能にし、その高い光学性能を印象づけます。


ドライバーの集中力を維持

運転支援システムの中でも、特にドライバーモニターなどの安全システムが注目されています。
ドライバーモニターアプリケーションでは、光源からドライバーの顔に、本人には見えない赤外線が照射されます。特殊なCMOSカメラ(解像度は通常1~2メガピクセル)で、モデルによっては1秒間に30枚または60枚の画像を記録します。記録された画像は下流のシステムで評価されます。例えば、ドライバーの視線の方向や、まぶたを閉じる頻度などの分析が行われます。安全システムはこの情報をもとに、ドライバーの注意力が散漫になっている、あるいは疲労が蓄積しているという結論を導き出し、それに応じてドライバーに警告します。

自動車内での赤外光を利用したアプリケーションに適したams OSRAMのTara2000-AUTは、初のAEC-Q102準拠VCSEL投光イルミネータです。
 

ビデオ:ams OSRAMのインキャビンセンシング
 

ドライバーモニターシステムの設置場所に応じて、システムがカバーする領域、すなわち視野(FoV)が変わります。そのため、個々の構成要素が適合している必要があります。光源に関して、これは対象となる領域を可能な限り明るく、均一に照らす必要があることを意味します。

ams OSRAMのOslon Black IREDファミリーは、このようなシステム要件に最適な高性能エミッタの幅広いポートフォリオで構成されています。VCSEL(垂直共振器面発光レーザの略)も、ドライバーモニターシステムにさまざまな利点をもたらします。2つの照明技術の特性、つまり赤外線LEDのシンプルなパッケージ、レーザーのスペクトル幅と速度を兼ね備えています。

ams OSRAMのTara2000-AUTは、初のAEC-Q102準拠VCSEL投光イルミネータです。この940nmのデバイスは光学性能に優れているため、より出力の低い複数のエミッタを簡単に置き換えることができます。システムメーカーは、設置スペースを節約できるだけでなく、個々の部品数が減ることによりシステム設計が大幅に簡素化され、安価になるというメリットを得ることができます。Tara2000-AUTは、さまざまな光学オプションを備えているため、ドライバーモニターシステムだけでなく、車内のモニタリングや制御のためのアプリケーション、いわゆるインキャビンモニタリングシステムにも適しています。


後部座席のビュー

赤外線は、ドライバーの監視だけでなく、同乗者の現在の着座位置の把握や、うっかり車内に置き忘れたものがないかどうかの確認にも役立ちます。例えば、いわゆるインキャビンモニタリングシステムでは、レンタカーの後部座席にバッグを忘れていないかどうかを検知し、適切なタイミングにおいて、スマートフォンのショートメッセージによって知らせることができます。これを可能にしているのが、高度な3Dタイムオブフライト(ToF)アプリケーションです。
インキャビンモニタリングアプリケーションは通常、PMD(フォトニックミキサーデバイス)カメラ、赤外光源のVCSEL、および特殊な検出器で構成されています。これに追加のアパーチャーからの情報を組み合わせることで、高解像度の3D画像とそれに対応する奥行き情報を生成することができます。下流のソフトウェアはこれらの情報から、どの物体が関係しているかを判断します。

 

タッチレスコントロール

赤外光を利用して、手の動きやジェスチャーでコマンドをキャプチャすることができます。赤外線LEDやVCSELには、最終製品に応じてさまざまなメリットがあります。特に、ジェスチャーコントロールへの応用では、そのメリットが明白になります。シンプルなシステムでは、エミッタと検出器を別々に配置するなど、個別の部品を使用するのが一般的です。それらを使用して、簡単なジェスチャーや動作も認識することができます。

ジェスチャーコントロールは、ドライバーと自動車間の直感的なインタラクションを実現するための、複数の構成要素の1つです。


VCSELが持つ、最大100 14, MHzという非常に高速のスイッチング時間などといった特殊な性質により、3D iToFベースの製品は、ドライバーの非常に複雑な動きやジェスチャーを3次元で認識し、処理することができます。


利便性とセキュリティを両立

システムメーカーにとってのメリットとして、ams OSRAMは、希望のシステムアーキテクチャや複雑さに応じて、エミッタ技術や性能クラスの幅広いポートフォリオを提供することができます。

数年後、自動車の運転席は現在と根本的に異なる様相になっているでしょう。さまざまなシステムアーキテクチャに搭載された異なる赤外線光源とセンサによって、より快適になるだけでなく、より安全に道路を走ることが可能になります

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