電子商取引の急速な拡大と職場における安全性に対する関心の高まりにより、自律型移動ロボット(AMR)と自動搬送車(AGV)の市場は大きく成長しています。ams OSRAMとJabilの力で、ロボット車両の視野が広がっています。
AMRやAGVは、倉庫や製造施設、さらにはオフィスなどで自律的に資材を移動させるために、さまざまなナビゲーション法を利用しています。Jabilとams OSRAMは、正確で費用対効果の高い3DセンシングとLiDAR技術を提供することで、ロボット車両の誘導システムを急速に進化させています。Jabilの全方位センサはタイムオブフライト(ToF)を利用して、施設内の磁気テープやタグ、トランスポンダ、反射板などの設備を変更する必要なく、車両を安全に進路に誘導し、障害物を回避させます。
ナノ秒で物体を検出
米国に拠点を置き、26万人以上の従業員を擁する製造ソリューションプロバイダーであるJabilは、ロボット車両の周囲360度を可視化するために、ToFをベースにした世界初の全方位センサを構築しました。地上と空中のあらゆる障害物を検知するため、Jabilは高出力の垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)を使用し、周囲を適切に照らす必要がありました。そこで同社は、ams OSRAMのBidos VCSEL製品を採用しました。
Jabilで事業開発部シニアディレクターを担当するIan Blasch氏は、次のように述べています。「障害物をナノ秒という超短時間で検出する必要があるため、高品質のVCSELが必要でした。Bidos VCSEL製品は非常に素晴らしく、多くのキャリブレーションは必要ありませんでした。すべてのアパーチャーでばらつきのない、非常に高い繰返し精度のパターンが得られました」
注:2つのセンサを対角線上に設置することで、完全な360°のHFOVをカバーすることができます。
ams OSRAMはJabilと共同で、全方位センサ用にカスタマイズしたBidos 850nm VCSELを開発しました。このVCSELは赤外光を放射し、物体で反射した光がレンズ内の検出器で記録されます。光線が物体に到達して戻ってくるまでの時間によって、物体の距離が判定されます。この情報は処理された後、障害物の周りを移動して衝突を回避するなど、対応するアクションのトリガーとなります。
Blasch氏は次のように述べています。「数社の製品を検討した結果、波長や適切な視野を有する一体化された拡散器などの技術的仕様に基づいて、ams OSRAMのソリューションが理想的であると判断しました。また、カスタマーサポートや技術開発、熱解析も積極的に支援してくれたことも決め手となりました。最初の試作品であったため、一体化された拡散器を調整したり、目の安全のためにダイオードを組み込んだりすることができるパートナーと協力したいと考えていました」
革新的な全方位センサは、ロボット、自律走行車、ドローンなどのプラットフォームにおける物体検知や衝突回避に必要な、個々のセンサの数を減らすべく設計されました。このセンサは、Jabilとams OSRAMにとって始まりに過ぎません。
Blasch氏は次のように述べています。「ams OSRAMとは、今後他のプロジェクトでも協力していきたいと考えています。このようなプラットフォームに必要なデータを提供するためには、デプスセンシングが必要です。研究開発に力を入れ、また適切なソリューションが現在なくても、将来的に利用できるようになる可能性を理解している企業と、協力していきたいと思っています」
ams OSRAMのアプリケーションに対する深い理解により、その産業用センシングソリューションは、競争上における真の優位性を顧客に提供しています。そして、産業用センシングは単なる始まりに過ぎません。VCSELが提供する波長安定性、温度、高速変調は、他の数え切れないほどの用途に利用することができます。
詳しい製品情報はこちらをご覧ください: BIDOS VCSEL製品ファミリー